代官山登山部

代官山?あ〜あの山ね。

親愛なる友へ

お久しぶりですこんにちは。

結婚はまぁ結構前にしたんですが、つい先日結婚パーティーをしました。

協力してくれたひと、来てくれた人、来れなかったひと、みんなありがとう。𝓛𝓞𝓥𝓔

 

 

 

 

 

わたしたち夫婦はマッチングアプリで出会いました。

マッチングアプリで出会って、2回目のデートで付き合って、その日からずっと一緒に住んで、1ヶ月後には指輪を買って、半年後には結婚をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

簡潔にいうとこうなんだけど、2回目のデートの、あの日を、思い出しながら書きます。

 

 

 

 

 

 

 

2回目のデートは渋谷の鉄板焼きでした。2回しか会っていないので、一応、「白い服を着ています!」なんて連絡を取り合って、食事をして、2件目は焼き鳥屋に行きました。

 

 

雰囲気もよくない、赤提灯でもない、よくわからないチェーン店だったような気がします。

 

 

 

 

「今ね、アプリでね、あなた以外にも3人の女の子と遊んでいてね」。彼はベロベロになって、ヘラヘラと、話し始めました。

 

 

 

なんとなくいい感じの感触はあったので、私はウンウンと聞きながら、「あなたがいいと思ったよ。」という次の言葉を待ちました。

 

 

 

 

 

彼は言いました。

 

 

 

 

「3人と遊んでてね、みんなすごくいい子でね、おれは、本当に、誰でもいいんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??????

 

 

 

 

 

 

 

思っていたのと違う言葉でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、なんていうかな、そうなんだ。なるほど、じゃあわたしは落選で大丈夫です。帰ろう!解散しよう!」と言ってわたしが席を立つと、彼は慌てて「ちがう、そうじゃなくって、」と続けました。

 

 

 

 

 

 

 

ホテルに行きたいんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

もう少し、気のあるそぶりをするとか、暗がりの店に連れて行くとか、手を繋いでみるとか、そういうことが出来なかったのでしょうか?

 

今時の顔のいい男は、こんな感じで、やってこれたのでしょうか?わたしはあまりにも、とんでもなく、舐められています。なめられ散らかしています。

 

 

 

 

 

いやでも。この男、顔がいい。東京で生きる30歳のわたしにとって、見た目が好みなだけの男と遊ぶことはもはや教養。セックスアンドザシティを見続けたこの知見を活かしたい。わたしもこの街を彩る、イルミネーションのひとつになりたい。

そしてわたしは、彼を6畳の小さな部屋に連れて帰ることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝目が覚めると、彼はなぜかうちの壊れた換気扇を直していて、早起きだね、というと、今日は約束があるから。と言いました。

 

 

「なんの約束?何時から?」ときくと、「17時ごろかな。マッチングアプリの別の子と、沖縄料理行くんだ。家帰って、着替えたいんだよね。」

 

 

 

 

 

あまりにも悪びれない彼は、わたしの憧れている世界でした。だらしない恋愛ごっこができるじゃん!と思うと楽しくて、わたしは物分かりのいい女のふりをする必要はありませんでした。

 

 

 

 

「えーーー!行ってほしくない!行かないで!おねがい!ね?この通り!ね!行かないで!わたしと遊んで!駅前の万豚記でご飯食べよう?ねえ、わたしといた方が、絶対たのしいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

本気で惚れてる男にはきっと絶対、こんなことは言いません。否、言えません。

 

わたしは愚かな女だから、本気で惚れている男の前ではきっと強がって、物分かりのいい女のフリをして、我慢したり、出ていく彼の背中を見届けて、切なくなって、どうしようもない気持ちを抱えて、こっそり枕を濡らしたりしていたでしょう。

 

 

 

でもこの日のわたしはいつもより、少しだけ大胆で、乱暴で、わがままでした。

 

 

 

 

行かないで!

いや、行くよ

おねがい!行かないで!

予約しちゃってるから。

やだ!たのむ!行かないで!

 

 

小さな6畳の部屋の大部分を占める、ダブルサイズのベッドでゴロゴロと転がる身長162センチののわたしは絶賛イヤイヤ期、妖怪行かないでと化しました。

 

 

そんな妖怪に彼は呆れて、沖縄料理に行くことを諦め、ふたりで都立大学駅前の万豚紀でチャーハンを食べました。

 

 

 

 

 

 

ビーチサンダルとくたくたのTシャツで散歩をしながら家に帰ると、彼は言いました。

 

 

 

「好きになった。付き合って欲しい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは、最悪の気分でした。

 

だってこの男、昨日の夜は誰でもいいといって、ついさっきまで、他の女とデートに行く気で、わたしは彼と、とても恋愛とは呼べないような、だらしない関係を築くのだと思っていたから。

 

 

 

「付き合うとかはいやだ。好きだとかはいやだ。意味わかんない。付き合うとかは、今後の検討事項としようよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやりとりがあって、最悪だったあの日は、最高の今につながっていました。

 

 

 

始まり方なんてどうでも良くて、大事にしたいのは、今この瞬間。

 

「遊んでよ!会おうよ!」という、ちょっと乱暴で、わがままで、格好つける必要のない関係の、そんな感じ。

覚悟なんてたいそうな物はそこにはなくて、ただ一緒にいたいという心地よさで、きっと本当に必要なのは、それだけ、そんな感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを、結婚パーティに来てくれたみんなの顔をみて思いました。

 

出会い方なんて全く覚えてなくて、どうやって友達になったのか、全然、思い出せませんでした。

 

 

 

わたしたち、どうやって友達になって、どんなことを共有してきたんだろうね。

いろいろあって、きっとこれからも色んなことがあるね。

 

時間も合わなくなって、選ぶお店も、行きたい場所も、欲しいものもきっと違ってくるね。

今まで笑えてたことが笑えなくなったり、共感出来ないことが増えたり、価値観はきっともっともっと変わっていくね。

 

 

 

まあ、でも、それでも、そんな感じで、また会いましょう。

 

「そっちに行くから遊んでよ!」って、乱暴に、わがままに、誘わせてね。

何ヶ月も何年も会わなかったり、遠い場所に住んでたり、子供がいたり、友達になったあの頃と今は全然違うけれど、これからも変わらず、格好つけずに話すから、格好つけずに話を聞いてほしい。そんでできれば、格好つけずに話を聞かせてほしい。

 

 

 

 

ゆっくり話せなかったからさ、今度会うときはコーヒーでも飲みながら、ゆっくり話そうよ。

来てくれてありがとう!来れなかった人もありがとう!最低と最高を繰り返していこうな!

 

 

 

おしまい

 

 

参考に過去記事もどうぞ↓

oyafukouofficial.hatenadiary.jp

 

oyafukouofficial.hatenadiary.jp