代官山登山部

代官山?あ〜あの山ね。

コロナとワニと、ぼくの生きる道

世間は某ウイルスによりどえらいことになっとりますね。

 

弊社も原則リモートです。カフェで仕事をしていると口を滑らせたら少し怒られました。世の中は自粛ムードです。母親からは「マスク送るからね」とラインがきます。イベントは中止です。東京の電車が空いています。買い物にいってもお店も暇そうです。

なんだか世間はピリピリしています。

 

 

なのにわたしといえば、まるで実感がもてないのです。明日は我が身、のはずなのに、まるで、他人事のように思えます。思えば、テロも、地震も、台風も、ぜんぶぜんぶ自分の身のまわりに起きているはずなのに、まるで危機感を持てないのです。生きてきて2回だけ入院をしたことがあるけど、その時もそうでした。

 

他人のことみたいに感じてしまって、深刻さがわからない。そっとヤフーで3.11を検索してみたり、109の広告を思い出したりはするけど、ほんとうは、来週の打ち合わせとか、少し増えた体重とか、好きな人とか、ワニが死ぬことのほうが心配。

 

 

 

 

 

例えばあと数日後にします!7日後に死にます!7日後です!さあ!急げ!生き急げ!!って言われたとしたら、何か変わるのかなあと思って、ちょっと考えたので書きます。

 

 

 

 

1日目はまず有給をなるべくたくさん取ります。残った仕事をなんとか処理します。いつも通り社内の人となんでもない話をしたい。 いつもはいかないランチをしたい。偉い人がくれたランチマップは、ぜんぜん活用できなかった。

 

 

 

2日目は実家に帰って、家族とご飯でも食べようかな。

ほんの少しの貯金で、親孝行をします。

実家の洗濯機を乾燥機つきのやつに変えたい。これはいまわたしが一番欲しいものです。とにかく乾燥機付きの洗濯機がほしい。マスクより欲しい。孫の顔見せられないから、ルンバにぬいぐるみでもつけて仕込むか、アレクサでも置いておく。

貯金の残りは、海外旅行でもプレゼントしたい。NYとか、パリとか、なるべくイケてる街と、イケてるホテルで、なるべく、彼らが、今後ふたりではいかないような場所がいい。いっそアフリカとかでもいい。

 

田舎で生きる両親に、子供の成長でも、テレビでもない、刺激的な景色を見せられたらいい。

 

 

 

 

3日目は、いつもなら実家に帰った後は友達のところへ行くけど、墓参りでもしましょう。おばあちゃんに、もうすぐわたしも行くからよろしくな~!と挨拶をかます

おばあちゃんはいつもカントリーマアムを買っていてくれたんだけど、カントリーマアム、今すごく小さくなってるんだぜって見せてあげたいから、カントリーマアムを桶にいれてもらいたい。

 

 

 

 

4日目は困ったな、会いたい友達はたくさんいるけど順番がつけられない。

そもそも急な誘いじゃ、予定合わないかもしれない。沖縄や福岡や愛知やロンドンにいるから、ちょっと会いにいくには難しい。でもやっぱり会いたいから、福岡にいって、名古屋にいって、スシローを食べて帰ってきたい。ロンドンにはどうしたっていけないから、テレビ電話にしようかな。

いつも通り、最近の出来事を披露したい。結婚や出産や出世でライフステージを駆け上がるやつらに、熱いエールを送る。今週のおもしろかった出来事や、好きな人のことや、むかつく大人のことを話す。

 

 

 

 

5日目はTwitterやLINEや、その他もろもろのアカウントの整理をして、スマホをぶっ壊す。

 

 

6日目と7日目はどうしようか。特にすることは思いつかない。会いたい人に会う以外にしたいことがない。1週間かけてなるべくたくさん会いたい人に会いたい。

 

 

好きな人にも会いたい。元気でやれよ~!幸せになるんだぞ!って言いたい。できれば、欲を言えば、好きだった人にも同じことを言いたい。言いたいけど、きっと、なんとなく連絡すらできないまま1週間が終わって、気が付いたら死んでると思う。幸せになってくれと思いながら、伝えることなく、気が付いたら死んでいると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今していないことを、死ぬって思えばやるのだろうか。

 

わたしはきっと、やらないと思う。先延ばしにしていることは、先延ばしにしてもいいことだからきっと、死ぬまでの7日間では優先順位が低いだろうし、踏ん切りがつかなくてできないことは、プライドが邪魔してできないことは、きっと死ぬ間際まで、できないままだ思う。

 

小さなプライドだけ抱きしめて死ぬ。

死ぬと決まってもなお、譲れない、小さな、もうほんとうに小さなプライドだけを守って死ぬ。

ワニはどうやって死ぬのかだけ、教えてくれ。

 

 

 

 

 

ワニもわたしも同じように、きっと死ぬことなんて知らなくて、だれにもわからなくて、でも、その、【ひとはいつか死ぬ】ことだけは、なんとなくわかっていて、なににも実感がもてずに、これからも生きていく。

 

 

 

さて、コロナで世間が自粛ムードの中、ワニの死が迫る中、わたしがしたことといえば、変わったことといえば、金髪にしました。

 

 

コロナのおかげで、対面での打ち合わせや接触が減ったのが理由です。とくにしたかったわけでもありません。思いつきで、金髪にする28歳。美容師に心配されるタイプの28歳。

金髪、落ち着かないし、鏡に映った自分にびっくりするし、あんまり似合ってなくて笑っちゃう。でもなんだか、気分は悪くない。むしろいい。最高だ。

 

 

 

そんな感じです。そんな感じで、コロナとか、ワニとか、死ぬとか、死なないとか、やりたいこととか、会いたい人とか、好きな人とか、そんなことをこれだけ書きながら、やったことといえば、金髪。うけます。

 

そんなもんです、きっと。おしまい。