代官山登山部

代官山?あ〜あの山ね。

コンプレックスなんてものは

コンプレックスなんてものは、気がついたら無くなっていた。

たくさんの数えきれないコンプレックスがあったはずなのに、いつの間にか、そんなものはどうでもよくなっていた。自分が好きだとか自信があるとか、そんなかっこいいことではなく、ただ、コンプレックスのことなど、考える余裕がなくなってしまった。

 

 

 

昔はちがった。指に生えてくる謎の毛、笑うと出る歯茎、ゴツゴツした指、太もも、鼻、眉毛の位置、せまいおでこ、低い声、音痴。

 

 

自分のいろいろな部分が目について、人のものがよく見えた。過激なダイエットをしてみたり、英語の勉強をしてみたり、広告業界に飛び込んでみたり、時間やお金をかけて、それなりにコンプレックスを解消してきた。

 

痩せれば世界が変わると信じて疑わなかった日もあった。誰に太っていると言われたわけでもないのに。痩せれば、もっとがりがりになれば、服が似合ってモテモテになるんじゃないか?!みたいな、我ながらなんとも滑稽で可愛らしい動機で、今より5キロくらい痩せていたと思うけど、普通に体調を壊したし、ボトムのサイズがちっとも合わないし、なによりべつにモテなかった。

 

 

英語さえできれば世界中を旅するかっこいい大人になれると思っていた。これに関しては、そもそも日本語でも人とうまく喋ることもできないことに気がついてしまった。言語の問題ではない。ただ、このブームのおかげで大学に入れたのは事実なので、過去の自分に感謝したい。

 

 

販売員であること自体がコンプレックスだった。この国は、直接消費者と関わる職種が軽視される傾向にある。仕組みを作る人や企画をする人が賞賛される。(そうじゃないかもしれないけど、たしかに、そう感じていた)。わたしは誰よりも現場のことを思いやれる、仕組みを作って企画をする人になってやると意気込んでいたけど、実際になってみたらそんな余裕はこれっぽっちもありはしない。こっちも頑張る!だからお前も頑張れ!以上、解散!

 

 

 

 

 

こうした努力の全ては理想の自分に近づくためで、自分のことを好きになるためで、どこのメディアにも、『努力すれば自分をすきになれる!』とかなんとか書いてあった。

それは事実だと思う。でもそれって、努力云々などは関係ないのでは?というかむしろ、努力をすればするほど、理想との距離が明確になっていく感覚すらある。努力をした分だけ、いろんなことが許せなくなっていく。あれ、理想とは?なりたい自分とは?幸せとは、あれ?なに?なにが君の幸せ?なにをして喜ぶ?わからないまま終わる?

 

 

そんなのはいやだ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

と、まあそんなことを繰り返しているうちに、なんというか、気がついたら、そんなのぜんぶまるっと、受け入れてしまっていた。わたしは、わたし以外のだれにもなれはしない。そして、わたし以外わたしではない。欲しいものは手を伸ばせば以外と簡単に手に入るし、手に入れてみると大したものではない。

 

 

 

「人の目が気になる」というのは、実は全然人の目を気にしていないやつのいうセリフ、というのがわたしの持論なのだけど(いつだって異論は認めます)、人の目を気にしていたら、人はおもうより、自分に対して興味がないことに気づいてしまった。

だれも、自分がおもうより、わたしに、関心がない。どうでもいいのだ。

 

 

年を重ねるごとに、少しずつ、人の目が気にならなくなっていた。それがいいことなのか悪いことなのかもわからないけれど、少なくとも、楽になった。自分が自分であることを、自分は自分でしかないことを受け入れられるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで書いたけど、着地が見えない。なんかいいことを書きたいのだけど、思いつかない。いいことを書きたい。ポエム垂れ流したい。それっぽいこと言いたい。そんな自分に気がついてしまった。

 

 

人の目など気にならない、と、ここまで語っておいて、読み手のことを気にしている。それはそれはもう、読み手のことを気にしてる。オチをつけたい。くだらないこと言いたい、くだらんことばかり垂れ流したい。そんなことを考えていたらぜんぜん書けなくなってまった。デビュー曲が売れたミュージシャンかよ。

わたしは教養がないから、アートとか映画とか歴史とか、そういう小難しいことはさっぱりわからんのだけれど、文書を読んだり書いたりするのだけは好きで、昔からポロポロとポエムを垂れ流す悪い癖がある。このブログは、わたしのくだらない自尊心だとか承認欲求だとかを凝縮して煮詰めたみたいな恥ずかしいものなのだけど、ありがたいことに読んでるよとか楽しみにしてるとか言ってくれる友人がいて、本当厨二病だなと笑ってくれる友人がいるので、こうしてツラツラと着地のない文章を書ける。ありがとう、友人達、ありがとう、愛してんぜ。

 

 

 

コンプレックスとは、愛すべき欠点らしい。コンプレックスなんてものは、くだらないのである。わたしのくだらない自尊心だとか承認欲求だとかを凝縮して煮詰めたみたいなこのブログは、わたしのコンプレックスそのものである。愛しておくれよな!

 

おしまい。